「北海道のチーズについて、もっと詳しく知りたい!どんな人が作っているの?」
そんな声にお応えするためにの連載【北海道チーズ巡り】。
第2回目は、「チーズ工房チカプ」(根室市)です!
「チーズ工房チカプ」(根室市)
アイヌ語で「鳥」という意味を持つ〈チカプ〉
たくさんの野鳥が暮らす根室の端っこ、北海道で最も東にあるチーズ工房です。
東京から根室にやって来た菊地夫婦に、初めてお会いしたのは8年ほど前。
お二人がオープンに向けて研修中の頃でした。
一足先に北海道で暮らしていたお姉さん夫婦が、根室で新しく牧場を始めた場所には使われていないチーズ工房がありました。
お姉さん達に誘われるがまま、都心から北海道に移住し、全くの職種違いからチーズを作ることになったお二人。今では道内外に多くのファンを持つ工房さんです。
チカプといえばシマエナガ、アカゲラ、シマフクロウ。工房のまわりにいる野鳥の名前がそのままチーズの名前になっています。
「シマエナガ」は白カビをふんわりと纏ったクリーミーで滑らかなチーズ。見た目の可愛さも相まって、当店でも常に人気の品です。
「アカゲラ」はほんのりとピンク色の外皮をした、独特な熟成の香りを持つセミハードタイプ。 そのままでも美味しいのですが、溶かして酸味のあるハード系のパンに合わせるのが大好きです。
「シマフクロウ」は長期熟成のハードタイプ。ぎゅっと詰まった旨味や甘みが心地よく口の中に広がり、お酒だけではなくコーヒーやほうじ茶にもよく合います。
チーズの原料は、目と鼻の先にあるお姉さん夫婦の牧場から。放牧を中心に育てられた牛のミルクからできるチーズは、季節によっても違う表情を見せてくれ、タイミングが良いと夏のミルクのシマフクロウ・冬のミルクのシマフクロウの両方に出会えることも。自然の中から作られるチーズは一期一会。同じ種類のチーズでも変化があり、面白く奥深いものです。
2013年に工房をオープンして以来、チーズはもちろん、お二人の人柄にも惹かれてチカプに行くためだけに根室へ向かうことも多くなりました。夏の間だけ食べることが出来るシマエナガのチーズソフトクリームは根室まで行かないと食べられない味。釧路方面からのドライブにもオススメです。
写真は菊地さん撮影の写真をお借りしました。 チーズのみならず、ロゴデザインや写真のセンスも抜群です!
<筆者プロフィール>
足立唯/あだちゆい
北海道のチーズを食べるのが趣味のコンテスタッフ。
チーズ好きが高じて販売に携わるようになり、道内外のチーズイベントに出没。
道産チーズのミニ講座や物書きとしても活動中。
JR北海道の車内誌『THE JR Hokkaido』の〈道産子のお気に入り〉ページにて、北海道の食にまつわる場所を紹介するコラムを執筆。2018年5月〜2020年3月まで、全12回。