チーズの店コンテ CONTE

【北海道チーズ巡り】山田農場チーズ工房/七飯町

【北海道チーズ巡り】山田農場チーズ工房/七飯町

「北海道のチーズについて、もっと詳しく知りたい!どんな人が作っているの?」
そんな声にお応えするためにの連載【北海道チーズ巡り】。
第5回目は、「山田農場チーズ工房」(七飯町)です!

「山田農場チーズ工房」(七飯町)

駒ヶ岳を望み、大沼公園を通り過ぎ、ナビがないと不安になりそうな道の先に見えてくるのは手作りの木造住宅。
住居も、チーズ工房も、ヤギ小屋も、とにかく建物らしきものは全て山田さんの手作り!
手作りというレベルを越えていて、夏にお伺いした際も、なにやら新しく建てている途中でした。 

「山田農場チーズ工房」(七飯町)
▲山田農場チーズ工房看板
▲建物外観

工房の横の斜面には放牧地が広がり、陽に照らされた美しい風景には毎回うっとり。
数年前に伺った時はまだ笹薮だった奥の方も、ヤギと羊が草を食べてくれてどんどん開墾されていったようです。

 ▲ガロ

山田農場さんといえば「ガロ」。
アイヌ語で”谷間の岩がごろごろしているところ”を意味する言葉が語源とも言われ、地域の方々が昔からこのエリアをそう呼んでいるのだそう。
このガロと呼ばれる地域で、山田さんファミリーがヤギや鶏と一緒に、ほぼ自給自足な暮らしをしています。

山田農場ではチーズ作りに必要な乳酸菌や酵母も自家製。
一般的にチーズ作りは、チーズ用に培養された菌を購入して使う方法で作られますが、ガロはこの土地に自生する微生物の力を借りて作られています。

▲チーズ工房の入り口

出来るだけ自然に寄り添った方法を選ぶことは山田さんの暮らしの中でも、チーズ作りでも大切な要素。
個人的にもガロは大好きなチーズなのですが、好きな理由はチーズだけでなく、山田さんの自然に寄り添った生き方に惹かれるのかもしれません。

チーズ好きにとっては、ヤギチーズの始まりは春の便り。自然繁殖するヤギは春に出産シーズンを迎えます。
お母さんヤギがお乳を出してくれる間にだけチーズを作ることができ、秋が過ぎた頃にはお乳も出なくなるのでチーズ作りは終盤に。今年のガロは終了と連絡をいただくと、季節の移り変わりを感じます。
工房兼ショップにはチーズの他に自然派の調味料、ナチュラルワインなどなど、小さな店内に買いたくなるものがいっぱい!農作業に出かけて留守の時もあるので、お店に立ち寄る際は必ず事前に連絡をしてみてくださいね。

<筆者プロフィール>
足立唯/あだちゆい
北海道のチーズを食べるのが趣味のコンテスタッフ。
チーズ好きが高じて販売に携わるようになり、道内外のチーズイベントに出没。
道産チーズのミニ講座や物書きとしても活動中。
JR北海道の車内誌『THE JR Hokkaido』の〈道産子のお気に入り〉ページにて、北海道の食にまつわる場所を紹介するコラムを執筆。2018年5月〜2020年3月まで、全12回。